はじめのことば (1999.9月 ゆずりはだより 創刊号より)

ある育児支援の講座を終えた時、「同じように子どもが遊んでいてもわらべうたがあると、ない時に比べて子どもが落ち着いているんですよね」と主宰者のお1人から言われた。

1歳~2歳の子が十数人集って、1時間程度遊んだ中でわらべうたを歌い、紹介した時の話である。私が当然と思っていた"わらべうたのもつ「魔力」"を改めて、再確認させられたような言葉だった。

実際、それぞれの子が1人遊びをしていた手を止め、フッと耳を傾ける、またはじっと目を私に注いでくれた。

きっとお母さんたちもわらべうたの力を感じてくれるから静かな落ち着いた時間が持てるのではないだろうか。

 

私自身、二十数年前にわらべうたの魅力に捕えられた1人である。

日本人が伝承してきたうた、あそびの中に秘められた宝物(人間関係、コミュニケーション、言葉、音楽、身体への刺激、運動的な発達、ものの考え方、そしてやすらぎなど)を次の世代へ伝えていきたい。はじめに大人が子育ての中で歌い、語り、遊ぶと、年齢が増す中で子ども自身が、歌い遊び、友達と人間関係を練習していくようになる。

1人1人にとっては1度の人生だが、それが縄のようによられて続いていくのが人間の歩みではないだろうか。

 

正月にゆずりはを飾る地域がある。古代の人々は子どもの葉が出ると下を向き、孫葉が出ると落葉する性質をみて、代々、繋がっていくことをイメージし、「ゆずりは」と命名してめでたい葉として使ってきたのである。

 

河井酔茗の詩に「ゆずりは」の詩がある。(一部抜粋させていただきます)

 

「・・・・・・(略)・・・・・・

 こどもたちよ、

 おまえたちは何をほしがらないでも

 すべてものがおまえたちに譲られるのです。

 ・・・・・・(略)・・・・・・

 世のおとうさんおかあさんたちは

 何一つ持っていかない。

 みんなおまえたちに譲っていくために、

 いのちあるものよいもの美しいものを

 一生懸命に造っています。

 ・・・・・・(略)・・・・・・」

 

私の大好きな詩の1つである。

 

前の世代が受け渡してくれたものをより美しいものに、よりよいものに、よりいのちあるものにして、次の世代へ渡していかれる1人でありたい。無造作に落ちるゆずりはのように。

そんな気持ちで「教育研究所ゆずりは」の仕事をしていきたいと思っている。

 

保育、教育にたずさわる人たち、そして親たちが手をたずさえて、子どもを育てられるようにしていいきたいと願って・・・。

 

(木村はるみ)

 

*******************************************

次回の「ゆずりはだより 94号」は、会員の方向けに20155月下旬に発送予定です。

会員期間は4月からの1年間で、ゆずりはだよりは5・7・9・11・1・3月の6回送付。

年度の途中で入会された方には、その年の5月号からお送りします。

会員のお申込みはこちらから♪