あそびの旬(2007.11月 ゆずりはだより 第50号より)

※今回は2007年当時開催していた「わらべうた教室」でのエピソードをご紹介します♪

 

毎週水曜日の「わらべうた教室」で子どもたちとわらべうたをするときには、いろいろな動きがあるように心がける。静と動がうまく繋がると子どもたちの集中は持続するからだ。「ゆずりはひろば」は狭い部屋なのだが、そこで体を動かすのは子どもにとって楽しみなことのようだ。この秋にはボールと短縄を使っての遊びを試みてみた。

 

 ボールを使ったわらべうたといえば、何といっても「まりつき」である。最近の子どもを見ていると、ボールを見れば「蹴る」ことが多いように感じる。そして同じ利き足ばかりを使って蹴るので、なんとなく体全体のバランスが良くない。そんなこともあって、子どもたち(年長~小学3年生)と、まりつきを行ってみた。「突きまわし」の遊びを計画したのだが、あまりにボールを突けないことに驚いて、早々に、かぞえうたを歌えながら個々に突くまりつきに変更した。ボールに手のひらが乗っていかない子、どの程度の強さで突いたら自分の手の高さまで戻ってくるかが測れない子ども…それぞれの状況は違うのだがとにかく「まりつき」にはならず、部屋中を転がるボールを追いかけては拾う繰り返しだった。でも1人としてやめようとしない。翌週からは、蹴ることが主だった子どもたちのボールとの付き合いが、突く練習に変わっていった。そして、週を重ねるごとに少しずつではあるが「まりつき」らしくなってきた。最後に「技」を入れようとする子どもも現れている。また「かぞえうた」も歌いやすいのだろう。歌うことを楽しんでいる様子も見られる。違う遊びをしながら鼻歌で、またカードを並べながら♪いも、にんじん、さんしょ…と。

 

 短縄では、わらべうたではないのだが体育の勉強会で行った、縄を結んで結び目を作る「何十円できる?」というあそびが子どもたちの「お気に入り」になった。結ぶのが下手な子どももいる。うちで結び方を習ったのか、手間のかかる結び方をする子もいる。しかしそれでは、10円玉(結び目)はいくつも出来ない。子どもたちは夢中で結び目の10円玉を如何に多く作るか、それぞれに工夫していた。何回か回を重ねていくと端から順にきれいに結び目をそろえられるようになり、「10円玉」ではなく「100円玉」にして「金額」を吊り上げる子も現れた。

 

 「当たり前」として年中児くらいにはできていたことが、思わぬところで出来なくなっていることに気づくことがある。服はかぶりでボタン留めのない形がほとんどになり、靴もファスナーやマジックテープが主になって、紐を縛る機会もほとんどなくなっている。必要に迫られて体や指先を使うことが極端に少なくなった。まりを突くこと、縄を結ぶことなども当たり前のことなのだが、やはりどこかで「練習」する機会が必要なのだろう。

 丸める、広げる、伸ばす、結う、解く、投げる、取る、突く、はじく、くぐる、渡る、乗り越える、等々…生活に必要な行為や技の基本は、毎日のあそびや仕事(手伝い)の中で練習する機会がしばしばあった。たとえば「まりつき」「お手玉」「おはじき」「なわとび」、そして「雑巾がけ」や「庭掃き」「靴磨き」など。これらのあそびや仕事はどれも自分の体を使い、家族、友だち同士の関わりが基本にあった。子どもたちは幼児期から学童期にかけて、家族の一員として年齢に応じた仕事を受け持ち、また友だちと楽しみながらもあそびを競いつつ成長するために必要な練習をしてきたといえる。大きくなってから上達させたいと思っても、なかなか適齢で行うようには行かないものである。あそびにも子どもがのめり込み、楽しんで業や技を獲得できる「旬」があるようだ。

 

 幼い時期から特殊技能を身につけることを急ぐのではなく、友だちと時には協力し合い、時には競い合う―自分の体を使い、工夫しあえる「あそび」をたくさんさせてやりたいとつくづく思う。伝承として長く子どもたちが遊んできたあそびの中には子どもの成長に役立つ事柄が自然と多く含まれていた。だからこそ子どもが伝承してきたことを改めて自覚し、今、また新たに子どもたちに手渡していきたいと考えている。

(木村はるみ)

 

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