保育と憲法の意外?な関係(2015.5月 ゆずりはだより 第94号より)

「どうして保育士になったの?」

「えっと・・・子どもが好きだから」

「子どもと遊ぶのが好きだから」

先日の基礎講座で、こんなやりとりがありました。

子どもをかわいいなぁ、と思うこと、一緒にいて楽しいなぁ、と思えること、

それがきっかけで保育士を目指す方はきっと多いでしょうし、

その感覚は、保育に携わる人にとってとても大切なことですね。

 

では、「保育って何だと思う?」

質問を投げかけられた保育士さん、子どもが好きで、毎日やっていることでも、

改めてこう聞かれると「ん?」考える姿がありました。

保育とは何か―そんな風に考えることって、意外と少ないかもしれませんね。

問いかけておいてなんですが、一言で保育をあらわせる“正解”があるわけでは、確かに無いのです。

保育士さんひとりひとり、自分にとって保育ってなんだろう、と考えて欲しい。

そんな気持ちからした質問でした。

 

せっかくですから、ゆずりはの考える、保育のことを少しご紹介します。

保育士試験のテキストによると、「保育」とは、

「未熟で弱い存在である子どもを『養護』し、やがてひとり立ちできるよう『教育』する営みを指す包括的な概念」

とのことだそうです。

「養護」とは、「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助やかかわり」のこと。

なるほど・・・なんだかわかったような気もしますが、ちょっと言葉が難しいですね。

 

ゆずりはでは、この「養護と教育」を「育児とあそび」ということばに置き換えて考えたらどうかと思っています。

「育児」ということばには、“ただ養って護るだけではなく、大人が沢山かかわり育てたい”という思いを、

「あそび」ということばには、“大人の方から教えて育てるだけではなく、

子どもが自分から、自分自身やまわりとあそびたわむれる中から世界を認識していくよう見守りたい”

という思いをこめています。

 

また、ゆずりはの学習会では、わらべうた、ことば、体育、育児の基礎などなどいろいろな分野のお話をしていますが、大切なポイントとして保育士さんにお伝えしたいと思っていることはすべてに共通する次の3つです。

 

①発達段階と順序を熟知すること

②たくさんかかわる・話しかけること

③個別性を重視すること

 

この3つ、順位をつけがたいほどどれも大切なことなのですが、

ここ最近のいろいろなニュースを見るにつけ特に気になっているのは、3つめの「個別性を重視する」ということです。

①と②は、保育する大人本人が発達のことを勉強したり、子どもとかかわろう、と向き合ったり、行動を変えることである程度実現が可能ですが、③は、子どもにかかわる大人自身の価値観、ひいては、保育環境を支える社会全体の価値観にかかわってくる問題。

「個別性を重視する」とは、「人間ひとりひとりを尊重する」とうことですが、今の世の中は、果たして多様な生き方をお互いにあたたかく受け入れあうような社会に少しずつでも向かっているでしょうか?

 

ここで一つ、気になっているのが、2016年夏の参院選の後に行われるのではないかと言われている、憲法改正の発議とそれに続く国民投票です。

 

え、保育の話をしてたのに、突然憲法の話題?

 

ちょっとびっくりされた方もいるかもしれません。

憲法の話題といえば必ず出てくるのが憲法9条。

戦争か平和か、集団的自衛権の是か非か・・・というテーマにつながり、とても大切な内容なのだとは分かりつつも、国防や外交の話など難しい話になりがちで、ちょっと日常生活からは遠いような気がする方もいるでしょう。

でも、現在の日本国憲法は全部で103条まであります。9条以外にも大事な条文が沢山あること、ご存知でしたか?

 

さて、改めて質問です。「憲法って何でしょう?」

「保育って何?」以上に、日ごろ考えなれないことかもしれませんね。

でももし、憲法のおかげで保育が存在しているとしたら?

 

実は、憲法と呼ばれるものの一番大切な特徴は、「人間ひとりひとりを尊重する」そういう国を作ってくださいね、と国に命令している法であることなんです。

つまり、ゆずりはが、保育において大事と考えているポイントの3つめ「個別性を重視する」そういう価値観を共有できる社会を国全体で目指していくために、憲法という存在がとても重要なのです。

さらにいうと、そもそも、どうして保育という仕事が存在しているのでしょうか?

子どもなんて、ほうっておいても育つ、小さい大人として労働力に数えて当然、そういう時代が歴史の中では長かったはずなのに、こんなに丁寧に、大人が子どもひとりひとりを見守り育てることがいいことだと、今は当たり前のように思われている。そうでなかったら保育士という職業自体が成り立ちません。

実はこのこと自体、憲法の存在に大きなカギがあるのです。

意外かもしれませんが、保育と憲法は表裏一体!なんですよ。

 

 

そんなわけで、倉持麟太郎弁護士とのコラボ企画として、保育者として知っておきたい憲法のキホンのお話をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!

 

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第95号~第99号に連載した、ゆずりはと倉持麟太郎弁護士の対談企画の

前置き記事を転載しました。

現在、5回にわたる対談記事は『保育の根っこにある憲法のはなし』冊子として販売中です。

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次回の「ゆずりはだより 101号」は、会員の方向けに2016年7月下旬に発送予定です。

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